『17 禊祓の準備・知訶島・伊耶那岐の大神から』

00 ここを以ちて

01 伊耶那岐の大神の詔りたまひしく、

02 「吾(あ)はいな醜(しこ)め醜めき穢(きた)なき国に到りてありけり。かれ吾は御身(おほみま)の禊(はらへ)せむ」とのりたまひて、

03 竺紫(つくし)の日向(ひむか)の橘(たちばな)の小門(おど)の阿波岐原(あはぎはら)に到りまして、禊ぎ祓へたまひき。

10 かれ投げ棄(う)つる御杖に成りませる神の名は、 衝き立つ船戸(つきたつふなど)の神。次に

11 投げ棄つる御帯(みおび)に成りませる神の名は、 道の長乳歯(みちのながちは)の神。次に

12 投げ棄つる御嚢(みふくろ)に成りませる神の名は、 時量師(ときおかし)の神。次に

13 投げ棄つる御衣(みけし)に成りませる神の名は、 煩累の大人(わずらひのうし)の神。次に

14 投げ棄つる御褌(みはかま)に成りませる神の名は、 道俣(ちまた)の神。次に

15 投げ棄つる御冠(みかかぶり)に成りませる神の名は、 飽咋の大人(あきぐひのうし)の神。

20 次に投げ棄つる左の御手の手纏(たまき)に成りませる神の名は、 奥疎(おきさかる)の神。次に

21 奥津那芸佐毘古(なぎさびこ)の神。次に 奥津甲斐弁羅(かいべら)の神。

22 次に投げ棄つる右の御手の手纏に成りませる神の名は、 辺疎(へさかる)の神。次に

23 辺津那芸佐毘古(へつなぎさびこ)の神。次に 辺津甲斐弁羅(へつかいべら)の神。