49【言霊コ】 大宣都比売の神(おほげつひめのかみ)

49【言霊コ】 大宣都比売の神(おほげつひめのかみ)

大いに宜しき言霊を秘めている言葉、という意であります。都(みやこ)とは宮の子、五十音図の子で言霊、特にその子音のことです。実相子音といい、現象の単位であります。発声された言葉が耳孔に入り、その中で復誦、検討されて「聞かれた言葉の内容はこのようなものだな」と確認され、鳥の石楠船の神として言葉の内容が確定されます。それが言葉の内容です。するとそこで事実として成立します。「こういう現象という事実が起こったな」という事実確認です。それが先天の働きから、イメージ化、言葉との結合、発声、空中を飛び、人の耳で聞かれ、検討されて、声の内容の確認を経て、現象が事実として成立します。この事実が言霊コ、即ち先天活動の「子」であります。伊耶那岐・伊耶那美の八父韻による結びが現象を起こし、現象が言霊子音として確定され、事実となり、そこで現象は終わり、神名(かな)は真名(まな)となって先天に帰ります。

言葉を換えて申しますと、父と母が呼び合って子が生まれます。現象が生れます。子は父と母とから生れましたから、父母そのままかと申しますと、そうではありません。子は父+α、母+βの要素を含んだ独立した第三者です。そしてその内容が鳥の石楠船の言霊ナです。大宜都比売の神の内容であります。

言霊コに漢字を当てますと、子(こ)、小(こ)、木(こ)、粉(こ)、濃(こい)、恋(こい)、乞(こ)う、声(こえ)、越(こ)え、肥(こ)え、凝(こ)る……等があります。

空中を飛んだ言葉が人の耳に入り、復誦、点検され、煮つめられ、「あゝ、こういう内容だったのだ」と確認され、事実として確定されます。その働きを言霊子音で表わしますと、ラサロレノネカマナコの十音となり、空中を飛んだフモハヌの四音を併せた十四音の宇宙区分を大倭豊秋津島(おほやまととよあきつしま)、またの名を天つ御虚空豊秋津根別(あまつそらねとよあきつねわけ)と呼びます。大倭(おほやまと)を大和(やまと)とも書きます。豊(とよ)である先天構造の働きで生れ出た言霊子音が、この十四音の出現ですべて調和して出揃(でそろ)い、実相を明らかに示すこととなった区分、という程の意であります。またの名天つ御虚空豊秋津根別とは先天である天つ御虚空(みそら)を示す十四音(豊)の活動で三十二の言霊子音がすべて明らかに出揃った領域と解釈出来ます。

大宜都毘売の神

言霊コ 言葉が耳に入り、復誦・検討され、内容が確定し、了解されますと、終りとして一つの出来事が完結します。事実として収(おさ)まります。父と母が婚(よば)いして子が生まれます。それが言霊コであります。それは物事のまぎれもない実相であり、言霊コはその実相の単位です。大宜都比売とは大いに宜(よろ)しき都(霊屋子)(みやこ)である言葉を秘めている(比売)の意であります。

言葉が最終的にその内容が確認され(言霊ナ)、事実として承認されます(言霊コ)と、三十二個の言霊子音は全部出尽くし、言霊の宇宙循環はここで終り、先天に帰ります。跡(あと)に記憶が残ります。この世の中には千差万別いろいろな出来事が雑然と起るように見えますが、親音言霊イの次元に視点を置いて見る時、世界の現象のすべては僅か三十二個の子音言霊によって構成されており、十七先天言霊によるいとも合理的に生産された出来事なのだ、という事が理解されて来ます。その理解を自分のものとする為には、言霊コである物事の実相を見る立場が要求される事を御理解頂けたでありましょうか。

言霊コは子(こ)・小(こ)・此(ここ)・粉(こ)・蚕(こ)・籠(こ)・鯉(こい)・越(こえる)・請(こう)・恋(こい)・乞(こう)等に用いられます。

さてここで伊耶那岐・美二神(言霊イ・ヰ)の婚(よば)いによる三十二個の子音言霊の創生が一段落となりました。先天構造の言霊十七個、後天現象の単位子音三十二個、計四十九個となります。すると言霊の総数は五十個のはずですから、明らかに一個足りません。残りの一言霊とは何なのでありましょうか。