[運用 33] 奥津甲斐弁羅(かいべら)の神

奥津甲斐弁羅(おきつかいべら)の神、辺津甲斐弁羅(へつかいべら)の神

奥津那芸佐毘古で禊祓の作業の出発点にある黄泉国の文化の内容を尽く生かす手段が分かりました。また辺津那芸佐毘古でその文化の内容を人類文明の中に同化・吸収する手段が分かりました。出発点の黄泉国の文化を生かす方法と終着点である人類文明に組込む手段とは、実は別々のものではなく、実際には一つの手段でなければなりません。人類文明に摂取する外国文化の内容の尽くを見極め、それを生かそうとする手段と、その内容を衝立つ船戸の神の音図に照らし合わせて、人類文明の中にその時処位を与える方法とは、実際には一つの行為・手段によって行われるものです。そこで出発点の手段と終着点の手段は一つにまとめられなければならないでしょう。ですからそのそれぞれの間の隔たりは狭められなければなりません。その間の距離を狭める働きが出発点の奥津那芸佐毘古に働く事を奥津甲斐弁羅と言い、終着点の辺津那芸佐毘古に働く事を辺津甲斐弁羅と名付けるのであります。この様にして摂取する外国文化の内容のすべてを生かし、更にそれを人類文明に組み入れる動作とがただ一つの言葉によって遂行される事となります。この禊祓の行為を仏教では佛の「一切衆生摂取不捨」の救済と形容しております。

以上、伊耶那岐の大神が自らの御身の中に於て外国文化を人類文明に組み込んで行く手法を示す奥疎の神以下辺津甲斐弁羅の神までの六神について解説いたしました。お分かり頂けたでありましょうか。

知訶(ちか)島またの名は天の忍男(あまのおしを)

以上お話申上げました衝立つ船戸の神より辺津甲斐弁羅の神までの十二神が人類精神宇宙に占める区分を知訶島または天の忍男と言います。知訶島の知(ち)とは言霊オ次元の知識のこと、訶(か)とは叱り、たしなめるという事。黄泉国で発想・提起された経験知識である学問や諸文化を、人間の文明創造の最高の鏡に照合して、人類文明の中に処を得しめ、時処位を決定し、新しい生命を吹き込める働きの宇宙区分という意味であります。またの名、天の忍男とは、人間精神の中(天)の最も大きな(忍[おし])働き(男)という事です。世界各地で製産される諸種の文化を摂取して、世界人類の文明を創造して行くこの精神能力は人間精神の最も偉大な働きであります。