32【言霊ソ】 天の水分の神(あめのみくまりのかみ)

32【言霊ソ】 天の水分の神(あめのみくまりのかみ)

33【言霊セ】 国の水分の神(くにのみくまりのかみ)

水分(みくまり)とは水配(みずくば)りの意であります。天の、とは霊的なものを意味し、国の、とは体的なものの意を表わします。一つにまとまったイメージに沫那芸・沫那美、頬那芸・頬那美で言葉と結ばれ、さて発音しようとする時、そこで今までに加えて一段のエネルギーが必要となります。それは、言葉が結ばれ、此処で発音することになるのだが、こんなことを発音して相手にどう受け取られるかな、もっと気のきいた言葉はないのかな、と逡巡の気が動きます。それを「まあよいさ、言うだけ言ってみよう」と気を取り直させるには一段の気持の高揚が必要です。霊的に見ると以上のようなものですが、体的に言うとどうなのでしょうか。発音の際の口腔を動かす力の増強か、または口腔内の潤(うるお)いを増す唾(つば)の水気でしょうか。そのどれにしろ、霊的、体的に一段のエネルギーの補給が必要です。天の、と国の双方の水分とはこの作用の事を言います。

言霊ソに漢字を当てますと、削(そ)ぐ、注(そそ)ぐ、添(そ)える、祖(そ)、麻(そ)、副(そ)う、衣(そ)、……等があります。

言霊セに漢字を当てますと、背(せ)、兄(せ)、畝(せ)、瀬(せ)、急(せ)かす、攻(せ)める、咳(せき)、堰(せき)、関(せき)……等があります。

天の水分(みくまり)の神、国の水分の神

言霊ソ、セ 水分(みくまり)は水配(みずくば)りの事であります。心を言葉に組んで発声するには、無言から有言ヘ、意志の一段の推進力が加わる必要があります。私達は言葉を発して相手に伝えようとして一瞬ためらう時があります。その最中(さなか)にこの言霊の働きの姿を垣間見ることが出来ます。天の水分は意志の一層の意欲、国の水分は体的エネルギーの補給、実際には弁舌の舌を潤(うるお)す唾液の事でありましょうか。

言霊ソは注(そそぐ)・削(そぐ)・添(そえる)・聳(そびえる)・染(そめる)・逸(それる)・剃(そる)等に、言霊セは瀬(せ)・急(せく)・堰(せき)・責(せむ)・背(せ)等に用いられます。