40【言霊ラ】 天の狭土の神(あめのさつちのかみ)

40【言霊ラ】 天の狭土の神(あめのさつちのかみ)

41【言霊サ】 国の狭土の神(くにのさつちのかみ)

大山津見(おおやまつみ)の神、野椎(のづち)の神の二神(ふたはしら)、山野によりて持ち別けて生みたまふ神の名は、

口腔で発声された言葉は空中を飛んで行きます。飛んで行ったからといって、発声した人の先天の意向から無関係になったわけではありません。飛んでいる言葉は発声した人の心(霊)も音(言)もしっかり宿したままです。そして大山津見で山を越え、野椎で野に下り、そこで人の耳に入ります。飛んでいる時の言霊四音、フモハヌ、更に人の耳に入った後の天の狭土の神(言霊ラ)より大宜都比売の神(言霊コ)までの十神、ラサロレノネカマナコの十神、十言霊を加えた十四神、十四言霊の区分を大倭豊秋津島(おおやまととよあきつしま)と呼びます。

天(あめ)の狭土(さつち)の神・言霊ラ 国(くに)の狭土(さつち)の神・言霊サ

耳孔に言葉が入って行く時の働きを示す言霊です。ラは螺の字が示すように螺旋状に入って行く働き、それに対して国の狭土のサは直線的な働きを示します。また天の狭土は霊を、国の狭土は言を担当していると言えましょう。

言霊サに漢字を当てますと、坂(さか)、狭(さ)、差(さ)す、指(さ)す、咲(さ)く、性(さが)、酒(さけ)、裂(さ)く、先(さき)、柵(さく)……等があります。

先天十七言霊(天名)(あな)の活動の内容が津島と呼ばれる区分に属す十言霊(未鳴)(まな)の現象を経て一つのイメージにまとめられ、次に佐渡島という区分の八言霊(真名)(まな)の現象で言葉と結ばれ、口腔にて発声され(神名)空中を飛びます。空中を飛んでいる音声も心を乗せています。その音声の心はフモハヌ(神名)(かな)の四言霊であり、やがて人の耳に達します。この空中を飛び、人の耳に入り、聞いた人が復誦、検討して終に発言した人の言葉の内容を了解して、言葉の循環は終り(真名)、記憶として遺り、元の先天に帰ります。発声されて空中を飛ぶ内容の四言霊、それが耳で聞かれ、了解されるまでの十言霊ラサロレノネカマナコを加えた計十四言霊の宇宙区分を大倭豊秋津(おおやまととよあきつ)島、またの名は天つ虚空豊秋津根別(あまつみそらとよあきつねわけ)と呼びます。この区分の現象で言霊子音が出揃い、調和して(大倭)豊かに明らかに(豊秋)現われる(津)区分(島)の意です。十四言霊の中で初めの四言霊フモハヌ、志那都比古(しなつひこ)の神より鹿屋野比売の神までの四神は前号で説明を終えましたので、今号は言霊ラ、天の狭土(さづち)の神以下の十言霊、十神の説明より始めることといたします。

この大山津見の神、野槌(のづち)の神の二柱(ふたはしら)、山野によりて持ち別けて生みたまふ神の名は、天の狭土(さづち)の神。次に国の狭土の神。次に天の狭霧(さぎり)の神。次に国の狭霧の神。次に天の闇戸(くらど)の神。次に国の闇戸の神。次に大戸惑子(おおとまどひこ)の神。次に大戸惑女(め)の神。次に生みたまふ神の名は、鳥の石楠船(いわくすふね)の神、またの名は天(あめ)の鳥船(とりふね)といふ。次に大宜都比売(おほげつひめ)の神を生みたまひ、……

以上の古事記の文章に出て来る十神(十言霊)が、前の志那都比古の神以下の四神と合わせて大倭豊秋津島に属す十四神、十四言霊であります。

この大山津見の神、野槌の神の二柱、山野によりて持ち別けて……

発声された神名が大山津見の神で山を越え、鹿屋野比売の神で野に下って来て人の耳に入ります。耳に入った言葉は次々に十の言霊、ラサロレノネカマナコの現象によって検討されて行きます。

天の狭土の神。次に国の狭土の神。

言霊ラ、サ 狭土の狭は耳の中の狭い所、土は椎(つち)で、耳の鼓膜を叩く槌の意。この場合も天の狭土は霊を、国の狭土は音声を受け持ちます。

言霊ラは螺(ら)に示されますように螺旋運動のこと、言霊サは坂(さか)・狭(さ)・差(さす)・指(さす)・咲(さく)・性(さが)・酒(さけ)・裂(さく)・先(さき)・柵(さく)等に用いられます。言霊ラは螺旋状に、言霊サは一定方向に、共に進む動きを示します。