[運用 30] 飽咋の大人(あきぐひのうし)の神

次に投げ棄つる御冠(みかかぶり)に成りませる神の名は、飽咋の大人(あきぐひのうし)の神。

冠(かがふり)とは帽子のことで、頭にかぶるものです。五十音図で言えば一番上のア段に当ります。物事の実相はアオウエイ五次元の中のア段に立って見ると最も明らかに見ることが出来ます。芸術がア段より発現する所以であります。飽咋の大人の神の飽咋(あきぐひ)とは明らかに組む霊(ひ)の意です。物事の実相を明らかに見て、それを霊(ひ)である言霊を以て組むの意となります。大人とは主人公の事。御冠である五十音図のア段と照らし合わせて、物事の実相を言霊で明らかに組んで行く働きという事です。

以上で禊祓の行を実行する基準となる衝立つ船戸の神(建御雷の男の神)と、摂取する黄泉国の文化を整理・検討して、その内容や実相、また時処位等を明らかにする五つの働き(道の長乳歯の神・時量師の神・煩累の大人の神・道俣の神・飽咋の大人の神)を解説いたしました。これ等六神の謎解きについては御理解を得られた事と思います。これまでのお話で禊祓を行う下準備は完了しました。これよりいよいよ禊祓の実行に取りかかる事となりますが、その実行する手順と手続きの内容を示す神名が極めて難解であります。先に詳細に説明申上げました「伊耶那岐の大神」と「御身(おほみま)」という事の意味を理解しませんと、禊祓の行の始めから終りまでが宙に浮いてしまうように、何の事かさっぱり分からなくなります。頭の中でただ理屈の上で考えて頂くだけではお分り難い事となります。是非読者御自身が禊祓の実行者の立場に立ったつもりになって、言い換えますと、読者御自身が「伊耶那岐の大神」になられ、その御自身の「御身」を禊祓なさるおつもりでお聞き願い度いと思います。そういう事で古事記の文章を先に進めます。