20【言霊ヨ】 石巣比売の神(いはすひめのかみ)

20【言霊ヨ】 石巣比売の神(いはすひめのかみ)

言霊ヨの石は五十音言霊。巣は五十音を以って作られた巣の如きもので五十音言霊図。比売は「秘め」で言霊図の中に秘められたもの、この場合は言霊ヨで、世の中を構成している四つの母音性能を指します。世の中は言霊ウ(五官感覚に基づく欲望性能、その根本性能が人間社会に築くものは物質的産業・経済機構)、言霊オ(人間の経験知、その性能が社会化したものが広くは学問、物質的精神的科学)、言霊ア(人間の感情性能、その社会化現象は宗教、芸術)、そして最後の四番目の性能、言霊エ(人間の実践智性、その社会に於ける活動は政治、道徳)。以上の四性能によって築かれた四種類の社会を総合して世(四)の中と言います。

先天構造の活動によって生れて来た現象の意図は何であるのか、は先ず第一に大事忍男の神・言霊タが全人格として現われ、その実像が次に石土毘古の神・言霊トの現象によるイ・チイキミシリヒニ・ヰの十の言霊によって時間的位置が定められ、次の石巣比売の神・言霊ヨによって現世の人間性能の中のどの性能の働きに属すものなのか、四つの社会の中のどれに入るべき事なのか、が確められます。人間の全人格は五十音言霊図によって表示されます。それ故に先天から姿を現わした現象は先ず言霊図の横の十音(父韻)の時間的変化の法則の網を通り、次に縦四個の次元の篩(母音)を通ってそのイメージ化が進んで行きます。

言霊ヨの音ヨに漢字を当てますと、四(よ)、世(よ)、代(よ)、節(よ)、夜(よ)、宵(よひ)、酔(よう)、過(よぎる)、欲(よく)、横(よこ)、汚(よごれ)、……等が思い出されます。

石土毘古(いはつちひこ)の神、石巣比売(いはすひめ)の神

言霊ト、ヨ 石土毘古の神の石は五十葉(いは)で五十音言霊、土は培うで育てる意、即ち八つの父韻の働きを示します。毘古は主体を表わします。石巣比売の神の石(いは)は五十音言霊、巣はその住家の意で、現象子音がそこから生まれて来る元の宇宙、即ち母音の事、比売は姫で客体を指しています。これだけでは何の事だか明らかではありませんが、言霊がタトヨ……と続く過程は島名で津島と教えられています。先天構造が活動を起し、現象が生れて来ますが、津島と呼ばれる過程で先天の活動が実際に何を意図しているかを一つのイメージにまとめる働きをします。言霊タトヨと続く働きを右の津島という島の意味と重ねてみますと次のような事が考えられて来ます。

先天構造の十七言霊が活動を起し、その先天宇宙が言霊子音ターと後天現象として姿を現わしました。けれどそれは先天活動そのものであり、意識の及ばぬ領域のことですから、ターと現われても何の事だか分りません。父韻はどんな並びになっているか、母音はウオアエ四次元の中の何の次元の活動か、を先ず調べる必要があります。そのため過去の経験の記憶を呼び覚(さ)ますこととなります。次元オの宇宙の中から五十音図の横の列の十音の並び即ち言霊トが、また縦の列のイ段を除いた四つの母音の並び即ち言霊ヨが思い起され、参照比較されます。それによって先天活動の実際の意図は八父韻の如何なる並びか、母音に於いてはどの次元の意図か、が測られます。

言霊トは十(と)・戸(と)・解(とく)・時(とき)・富(とみ)・年(とし)・説(とく)等に使われ、言霊ヨは四・世(よ)・欲(よく)・夜(よる)・嫁(よめ)・横(よこ)・酔(よう)等に用いられます。