29【言霊ム】 沫那美の神(あわなみのかみ)

28【言霊ク】 沫那芸の神(あわなぎのかみ)

29【言霊ム】 沫那美の神(あわなみのかみ)

先天構造のお話の所で伊耶那岐(いざなぎ)と伊耶那美(いざなみ)の婚(よば)い(呼び合い)で主体と客体が結ばれ、現象を生じる事を説明しました。この婚いの作業は先天内のことで、意識で捉える事は出来ません。この先天内の作業を現象界に於て再現するのが沫那芸、沫那美の働きです。津島内の作業で霊体共にハッキリとイメージ化された先天の意図を、今度はその意図を確実に言葉によって表現する作業であります。沫那芸の沫はアとワ、心と体、霊と体、主体と客体です。沫那芸の言霊クと沫那美の言霊ムで、イメージと言葉をクム(組む)働きであります。

言霊クに漢字を当てますと、来(く)、区(く)、杭(くい)、組(く)む、食(く)う、悔(く)う、臭(くさ)い、熊(くま)、茎(くき)、雲(くも)、……等となります。

言霊ムに漢字を当てますと、六(む)、向(むこ)う、剥(む)く、報(むく)い、麦(むぎ)、昔(むかし)、虫(むし)、婿(むこ)、惨(むご)い、迎(むか)える、……等があります。

先天構造内の意識では触れることが出来ない活動の内容が、津島と呼ばれる宇宙内の位置に属する十言霊の働きによって、頭脳内の狭い通路を通り最後の速秋津日子・比売、言霊ケメに到って一つのイメージにはっきりとまとめられました。此処までが「河」に当ります。そして次の佐渡の島と呼ばれる位置に属す八言霊クムスルソセホヘの働きでイメージに言葉が結ばれ、口腔より発声されます。その口腔を広い海に譬えたのです。「速秋津日子、妹速秋津比売の二神、河海によりて持ち別けて生みたまふ……」とは以上の説明の如く、速秋津日子・妹速秋津比売までが河、次に生れる沫那芸・沫那美からは海と、河と海を持ち別けたという事であります。

沫那芸(あわなぎ)の神、沫那美(み)の神

言霊ク、ム 先天構造内で伊耶那岐・伊耶那美の二神言霊イ・ヰが婚(よばい)し、結びついて現象子音が生れて来ると説明されました。しかしそれは人の意識では触れることが出来ぬ先天構造内の出来事でありました。その先天構造内の活動を、今度は意識で触れることが出来る後天現象として伊耶那岐・美二神の婚(よば)いの活動を再構築する働き、これが沫那芸・美の二神、言霊ク・ムの働きであります。沫那芸・美の沫は言霊ア・ワを意味し、また敷衍(ふえん)しますと言霊アオウエイとワヲウヱヰでもあります。この二言霊の活動でイメージが言葉と結びつけられます。心と身が、霊と音が、私と貴方が結ばれます。

言霊クは来(く)・杭(くい)・食(くう)・悔(くい)・加(くわる)・暗(くらい)・繰(くる)・括(くくる)・草(くさ)・潜(くぐる)・挫(くじく)等に、言霊ムは六(む)・向(むかう)・迎(むかう)・昔(むかし)・麦(むぎ)・剥(むく)・婿(むこ)・虫(むし)・蒸(むす)・結(むすび)等に使われます。