06章-4 己の心が宣(の)る十四の領域

己の心が宣(の)る十四の領域

以下、心が宣(の)る十四の領域を示します。

「十四の領域。(神々の宝座。言霊百神)

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意識行為を起こすための先天領域

1 子淡路の穂の狭別の島運用 意識の始まる前の全体構造。

2 伊予の二名(ふたな)の島 前もって現れてくる全体。

3 隠岐(おき)の三子(みつご)の島 知識と智恵、概念と選択の領域。

4 筑紫(つくし)の島 意識の働きの領域。

5 伊岐(いき)の島 ここから始まってここへ戻ってくる。

意識の後天現象要素領域

6 津(つ)島 先天からイメージ物象化へ。

7 佐渡(さど)の島 物象が言葉表徴と結ばれる。

8 大倭豊秋津(おほやまととよあきつ)島 言葉が移動し相手対象内で了解される。単位要素の完了。

現象の運用領域。

9 吉備(きび)の児島(こじま) 運用要素の整理と初期の運用規範。

10 小豆島(あづきしま) 主体側の運用要素規範。

11 大島(おほしま) 主体側の過去規範を用いた大いなる判断規範。

12 女島(ひめしま) 表現判断規範。

13 知珂(ちか)の島 主観運用をたしなめ反省する規範。

14 両児(ふたご)の島 主客の両世界の統一された自覚的規範。

(注。十四の経過は一瞬であると同時に経過の完了も示す。)

神々の宝座 (島田正路氏による)

【子淡路の穂の狭別の島を生みたまひき。】

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(一) 淡路の穂の狭別の島 ・ アとワ(淡路)の言霊(穂)が別れて出て来る(別)狭い(狭)区分(島) 言霊ウは主客未剖、アワはそこから分れます

天の御中主の神 ウ (こころの発生、問題の提示)

【伊予の二名(ふたな)の島を生みたまひき。この島は身一つにして面四つあり。面ごとに名あり。かれ伊予の国を愛比売(えひめ)といひ、讃岐の国を飯依比古(いいよりひこ)といひ、粟(あわ)の国を、大宜都比売(おほげつひめ)といひ、土左(とさ)の国を建依別(たけよりわけ)といふ。 】

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(二) 伊豫の二名島 ・ 二名とはアとワの二音言霊のこと 宇宙剖判で主体アと客体ワに分れます この主と客に分かれることが全ての自覚の始まりです イとヰの現象を創造する働きの予めの区分

高御産巣日の神 ア (いとなみ。今全体の表面に拡がるいとなみ。心の自覚、主体・能動・働き側)。

神産巣日の神 ワ (なりさま。今全体の表面から中心にまとまるなりさま。心の自覚、客体・受動・実体側)

【隠岐(おき)の三子(みつご)の島を生みたまひき。またの名は天の忍許呂別(おしころわけ)。】

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(三) 隠岐の三子島 ・ 隠岐とは隠り神、三つ子とは三段目に現われる言霊という意味

言霊オ・ヲ(経験知)、エ・ヱ(実践智)は文明創造上最も重要な精神性能です

宇摩志阿斯訶備比古遅の神 ヲ (過去-今全体のなりさま。こころの客観実在)

天の常立の神 オ (過去-今全体のいとなみ。こころの構造、経験、主体側)

国の常立の神 エ (今-未来のいとなみ。心の選択実在)

豊雲野の神 ヱ (今-未来のなりさま。心の選択実在)

【筑紫(つくし)の島を生みたまひき。この島も身一つにして面四つあり。面ごとに名あり。かれ筑紫の国を白日別(しらひわけ)といひ、豊(とよ)の国を豊日別(とよひわけ)といひ、肥(ひ)の国を建日向日豊久士比泥別(たけひわけひとわくじひわけ)といひ、熊曽(くまそ)の国を建日別といふ。 】

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(四) 竺紫の島 ・ 竺紫は尽くしの謎 八つの父韻は言霊イ(伊耶那岐神)の実際活動のリズム 「身一つにして面四つ」の意味は作用・反作用の陰陽一対四組の知性の律の島です

宇比地邇神・妹須比地邇神 チ・イ (ウ)全体性 父韻

角杙神・妹生杙神 キ・ミ (オ)引き寄せる動き

意富斗能地神・妹大斗乃弁神 シ・リ (エ) 拡がりの保存、収縮

於母陀流神・妹阿夜訶志古泥神 ヒ・ニ (ア)火花の先端にて、表面性

【伊岐(いき)の島を生みたまひき。またの名は天比登都柱(あめひとつはしら)といふ。】

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(五) 伊岐の島 ・ 伊岐とは伊の気でイ言霊のこと

心のすべての現象はここから現われ出て、また此処に帰っていくのです

伊耶那岐神 イ (意志の発動) 親韻

伊耶那美神 ヰ (意志の帰還)

天津磐境 ・ 言霊ウから言霊ヰまで十七個の言霊が全て出揃い、この先天構造図を「天津磐境」(あまついわさか)と呼びます

天津は先天の意 磐境は五葉坂(五段階の言葉の構造)です

この天津磐境が活動して五官感覚で意識することが出来る精神の後天現象が生れます

言霊五母音につきましては中国哲学(易行)では五行の木火土金水とか、仏教では五重塔で仏陀・菩薩・縁覚・声聞・衆生とか、キリスト教ではラファエル・ミカエル・ガブリエル・ウリエル・ルシファーの五大天使の名で示しています

言霊父韻に関しましては、中国の易経に八卦、キリスト教では神と人との間の契約の印の虹として、仏教では仏となる為の守らねばならない八正道等などとして説かれています

【津(つ)島を生みたまひき。またの名は天(あめ)の狭手依比売(さでよりひめ)といふ。】

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(六) 津島 (天の狭手依比売) ・ 津島の津とは渡し場の意 未だ言葉として名のつかない、秘められている区分 先天構造内に起った活動が津島という十言霊の現象を経て、頭脳内で実際のイメージにまとめられ行く過程です

まだ言葉として表現されていない内は全く個人的な恣意であって人間社会に通じることのないものです 先天の活動が言葉の社会、即ち一般社会に出て行く船の発着場という意味で、先天の何か分らない働きが表現された言葉の世界へ出て行く港の意です

大事忍男の神 タ

石土毘古の神 ト

石巣比売の神 ヨ

大戸日別の神 ツ

天の吹男の神 テ

大屋毘古の神 ヤ

風木津別の忍男の神 ユ

大綿津見の神 エ

速秋津日子の神 ケ

妹速秋津比売の神 メ

未鳴、真名とも言います まだ言葉として発せられていない、考えがまとまっていく段階です

別名 天の狭手依比売(あまのさでよりひめ) とは先天の天名(あな)が狭い津島という区分(狭)を通って一つのイメージにまとまるよう手で探ることが秘められている(比売)区分ということです

【佐渡(さど)の島を生みたまひき。 】

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(七) 佐渡の島 ・ 佐渡とは助け(佐)渡す(渡)の意 何を助け何を渡すのかといいますと先天の活動が一つのイメージ化され、そのイメージを誰にどのような表現で伝えたらよいか、が検討されて言葉として表現・発生される処の区分

沫那芸の神 ク

沫那美の神 ム

頬那芸の神 ス

頬那美の神 ル

水分の神 ソ

国の水分の神 セ

久比奢母智の神 ホ

国の久比奢母智の神 ヘ

どんなに立派な心中のイメージであっても言葉として、または絵や記号、詩などに表現しなければ人に伝わることがない心中の発想で終ってしまいます 宗教上の悟りや哲学上の発見も、それが人間の頭脳内のイメージとして捉えられただけでは、表現しない限り真理とはなりません 言葉となって此岸から彼岸に渡されます

真名とも言います

【大倭豊秋津(おほやまととよあきつ)島を生みたまひき。またの名は天(あま)つ御虚空豊秋津根別(もそらとよあきつねわけ)といふ。】

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かれこの八島のまづ生まれしに因りて、大八島国(おほやしまくに)といふ。

(八) 大倭豊秋津の島 (天津御虚空豊秋津根別) ・ 大倭は大和とも書きます すべてが共存調和するという意 三十二個の言霊がこの区分の言霊の誕生によって全部で揃い、それが豊かに明らかに現われる(津)区分(島)という意味となります

音声が空中を飛ぶ言霊フモハヌは「神名」ともいいます 電波、光波でも同じです

声は耳により入って聞いた人の頭脳内で「ああこういうことか」と了解され行動になります その後、言葉は先天宇宙に帰り、記憶として印画されて言葉の循環はここで終ります 耳から入って了解されるまでの言霊は真名です

風の神名は志那津比古の神 フ

木の神名は久久能智の神 モ

山の神名は大山津見の神 ハ

野の神名は鹿屋野比売の神 ヌ

天の狭土の神 ラ

国の狭土の神 サ

天の狭霧の神 ロ

国の狭霧の神 レ

天の闇戸の神 ノ

国の闇戸の神 ネ

大戸或子の神 カ

大戸或女の神 マ

鳥の石楠船の神 ナ

大宣都比売の神 コ

火の夜芸速男の神 ン

別名 天津御虚空豊秋津根別(あまつみそらとよあきつねわけ)といい先天の活動(天津御虚空)が豊かに明らかな音(根-ね)となって現われる(津)区分

火の夜芸速男の神 ン

神名の火とは言霊のこと、夜芸の夜は夜の国、夜見または読みとなります 芸は芸術のことで火の夜芸速男の神とは、言霊を読む芸術(業-わざ)が早く示されている働きということになり 明瞭に文字の事を指しています 真言に「言霊即実相、文字即涅槃」とあり、文字とは言葉が眠っているものという意味で、生きた人間がそれを読むと直ちにその文字の事が実相となって蘇ってきます

【然ありて後還ります時に、

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吉備(きび)の児島(こじま)を生みたまひき。またの名は建日方別(たけひかたわけ)といふ。】

(九) 吉備の児島 ・ 吉く備(吉備)わった初期(児)の締まり(島)と言った意 五十個の言霊を集めて形だけは五十音図としてまとめたけれど、その内容はまだ詳細には確認されていない段階ということです

初歩的では有りますが豊宇気として先天の性質を受け持っているこの五十音の枠結びを天津菅麻(音図)と呼びます 菅曽(すがそ)は菅麻とも書き先天・大自然そのままの性質の音図(すがすがしい衣の意)のことです 例えばこの世に生れたままの赤ちゃんの心の性能の構造といえるでしょう

金山毘古の神

金山毘売の神

波邇夜須毘古の神

波邇夜須毘売の神

弥都波能売の神

和久産巣日の神

の子(豊宇気毘売の神)

【小豆島(あづきしま)を生みたまひき。またの名は大野手比売(おほのてひめ)といふ。】

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(十) 小豆島 ・ 音図上で初めて確認された八つの父韻の締めくくりの区分 八父韻は音図上で小豆即ち明らかに続く気の区分のこと

泣沢女(なきさわめ)とは人間の創造知性の根本の響きのことです 音波、光波の大自然の無音の音(梵音)が視覚、聴覚のリズムとシンクロナイズする時、初めて現象が現われます 泣き沢め(なきさわめ)ぐのは父韻であり人間の創造知性の側の働きであり、その刺激により宇宙である五母音から現象が出て来るという意味であります

別名の大野手比売(おほのでひめ)とは大いなる横(野・貫)に並んだ働き(手)を秘めている(比売)の意 音図においては八父韻は横に一列に展開しています

泣沢女(大野手比売)の神

【大島(おほしま)を生みたまひき。またの名は大多麻流別(おほたまるわけ)といふ。】

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(十一) 大島 (大多麻流別) ・ 大きな価値・権威を持った心の締まりという意 別名の大多麻流別は大いなる(大)言霊(多麻)が流露・発揚(流)する心の区分、ということです

伊耶那岐の命(言霊の原理・法則)が活用する十拳の剣の力(物事を十段階に分けて判断する)を明らかにする作業区分であります

石拆の神

根拆の神

石筒の男の神

甕速日の神

樋速日の神

建御雷の男の神

闇淤加美の神

闇御津羽の神

【女島(ひめしま)を生みたまひき。またの名は天一根(あめひとつね)といふ。】

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(十二) 姫島 (天一根) ・ 八つの神代表音神名文字(八種の文字原理)が心の宇宙の中に占める位置・区分

言葉を文字で表したものを比礼(ひれ)または霊顯(ひら)といいます 枚(ひら)の字を当てることもあります 大山津見の神(言霊ハ)は言葉のことです 山津見の山は八間でこの間に言霊父韻が入り、それが津見(渡して現れる)で言葉が出来ます

女(おんな)は音名で、文字のこと 文字には言葉が秘め(女)られています 人によって文字を読むと直ちに心の中に言葉となって甦ります また神代文字は全部 火の迦具土の神(言霊ン)から現われますから、別名、天の一根と言われます

頭に成りませる神の名は 正鹿山津見の神

胸に成りませる神の名は 淤滕山津見の神

腹に成りませる神の名は 奥山津見の神

陰に成りませる神の名は 闇山津見の神

左の手に成りませる神の名は 志芸山津見の神

右の手に成りませる神の名は 羽山津見の神

左の足に成りませる神の名は 原山津見の神

右の足に成りませる神の名は 戸山津見の神

○ 黄泉国(よもつくに)

【知珂(ちか)の島を生みたまひき。またの名は天の忍男(おしを)。】

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(十三) 知訶島 ・ これよりは言霊学奥義である禊祓の区分となります

知とは知識の事、訶とは叱り、たしなめるの意です

外国の文化の知識をこの段階で言葉の意味がよく分るように内容を整理し、次の人類文明へ吸収する為の準備作業となる段階の働きの区分

伊耶那岐の大神

衝き立つ船戸の神

道の長乳歯の神

時量師の神

煩累の大人の神

道俣の神

飽昨の大人の神

奥疎の神

奥津那芸佐毘古の神

奥津甲斐弁羅の神

辺疎の神

辺津那芸佐毘古の神

辺津甲斐弁羅の神

【両児(ふたご)の島を生みたまひき。またの名は天の両屋(ふたや)といふ。】

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(十四) 両児島 ・ 言霊布斗麻邇の原理は心の要素である五十個の言霊とその運用法五十、計百の原理から成り立っています その要素五十言霊を上の五十音に、運用法五十を下の段にとりますと百音図ができます これを図の上と下が完成した原理として両児の島と名付けました

八十禍津日の神

大禍津日の神

神直日の神

大直日の神

伊豆能売

底津綿津見の神

底筒の男の命

中津綿津見の神

中筒の男の命

上津綿津見の神

上筒の男の命

天照大御神

月読の命

建速須佐男の命

▲▲▲ここまで▲▲