[運用 13] 建御雷(たけみかづち)の男の神

建御雷(たけみかづち)の男の神

主観的な判断操作

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十全な判断力である十拳剣の元に語られます。

チ) 石拆の神は、実体五次元世界への判断力。 知っていること、関心のあることなら自分は何でも喋れるぞという主観。

イ) 根拆の神 は、八父韻の働き。主観内のことなら理路整然と話していられる積もりになれる主観。

キ) 石筒の男の神は、縦にも横にも連絡が取れている確認。 時処位過去にも未来にも考えを発展できる積もりの主観。

ミ) 甕速日の神 は、連絡が取れている中の言霊要素の確認。自分のの表現が正当であるという積もりになれる主観。

シ) 樋速日の神 は、言霊要素が実際に連絡し合っていくこと。自分の主張で事が成る積もりでいられる主観。

リ) 建御雷の男の神 は、主観的になら何でも主張できる判断規範を得る。自分にとってなら全ての正しさを与えられ全体絶対規範

ヒ) 闇淤加美の神 は、十本指を次々に握る形で判断すること。元あるグーの形に一つ一つ羽が噛み合ってくる。

ニ) 闇御津羽の神 は、握った十本指を一つ一つ開く形で判断すること。展開されたと思われる形に一つ一つ近づき煮詰まる。

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次に建御雷(たけみかづち)の男の神。またの名は建布都(たけふつ)の神、またの名は豊(とよ)布都の神。

建御雷の建(たけ)とは田気(たけ)の意です。田とは五十音言霊図のことで、その気(け)ですから言霊を指します。雷(いかづち)とは五十神土(いかつち)の意で、五十音を粘土板に刻んだものです。自然現象としての雷は、天に稲妻(いなづま)が光るとゴロゴロと雷鳴が轟(とどろ)きます。同様に人間の言葉も精神の先天構造が活動を起すと、言葉という現象が起こります。言葉は神鳴りです。この神鳴りには五十個の要素と五十通りの基本的変化があります。この五十の要素の言霊と五十通りの変化の相とを整理・点検して最初に和久産巣日という五十音図(天津菅曽音図)にまとめました。次にその音図を十拳剣という主体の判断力で分析・検討して行き、石柝(いはさく)、根柝(ねさく)、石筒(いはつつ)の男と検討が進展し、甕速日(みかはやひ)という心の静的構造と樋速日という心の動的構造が明らかにされました。その結果として五十音言霊によって組織された人間の心の理想の構造が点検の主体である伊耶那岐の命の心の中に完成・自覚されたのであります。この精神構造を建御雷の男の神と言います。

人間精神の理想として建御雷の男の神という五十音図を自覚しました。これを建御雷の神と書かず、下に「男の神」と附したのは何故なのでしょうか。初め伊耶那岐の命は妻神伊耶那美の命と共同で三十二の子音を生みます。それを粘土板に書いて火の迦具土の神という神代表音文字に表わしました。そこで伊耶那美の命の客体としての高天原の仕事は終り、美の命は高天原から客観世界の予母津国に去って行き、残る五十音の整理・検討は主体である岐の命の仕事となります。そこで整理作業によって最初に得た菅曽音図を主体の判断力である十拳剣で分析・点検して人間精神の最高理想構造である建御雷の男の神という音図の自覚を得ました。しかし人間の心の理想構造の自覚と申しましても、それは飽くまで主体である伊耶那岐の命の側に自覚された真理であって、何時の時代、何処の場所、如何なる物事に適用しても通用するという客観的證明をまだ経たものではありません。主観内のみの真理であります。その事を明示するために、太安万侶はこの自覚構造に建御雷の男の神と男の字を附けたのであります。

またの名は建布都(たけふつ)の神、またの名は豊(とよ)布都の神。

建布都(たけふつ)の建は田(た)(言霊図)の気(け)で言霊の事。布都(ふつ)とは都(みやこ)を布(し)くの意。都とは言霊を以て組織した最高の精神構造、またはその精神によって文明創造の政治・教育を司る教庁の事でもあります。豊布都の豊(とよ)は十四(とよ)で、先天構造原理をいいます。そこで建布都とは言霊を以て、豊布都は言霊の先天構造原理を以て組織された最高の人間精神の事であり、建御雷の男の神と同意義であります。建布都・豊布都は奈良県天理市の石土(いそのかみ)神宮に伝わる十種(とくさ)の神宝(かむたから)の中の神剣の名でもあります。