2017.9 古事記冒頭五十神の言霊学あらまし

天地(あめつち)の初発(はじめ)の時、高天(たかあま)の原(はら)に成りませる神の名(みな)は、

『あめつち』とは、吾(あ)の眼(め)を付(つ)けて智(ち)と成す、こと。アメ、吾の眼とは私の意識。ツチ、愛して対象に着けて出来たもので智恵。古事記は意識の運用とは何かを記した言霊精神現象学のこと。 その意識、心の運用の初めの動きを特に解明している。

『初発』とは端緒の眼、今此処の意識のことを指す。

『高天原』は今此処での意識の運用場、つまり頭脳中枢を指す。

頭脳に喚起されのはイメージ、想念、思い、言葉等をひっくるめた言霊である。

古事記に記載されている神がいるのではなく、神名で呪示された言霊がある。『神』とは言霊である。

ですので神は最初にいるのではなくて、『成りませる』下地としての神に宣(の)って、後から『成りませる』という重層構造として出てくる。繰り返して前承する重層螺旋上昇構造が言霊学の原理構造となっている。それは吾の眼を付けることから繰り返される。あめつちの原理。

以下十七神は下地、先天としての神々、ついで三十二神は後から産まれた現象神、そして最後に心を運ぶ言葉となっている文字で五十神です。

物質を構成する元素の数がきまっているように、意識も五十の言霊で構成されます。

ですので古事記は古い事を記したものではなく、精神意識の子現象を記した子事記です。

天の御中主(みなかぬし)の神。次に 言霊ウ。

吾の眼、私の意識が実となる中核の主人という意味で、吾眼の実中主。注意すべきは意識の中核のそのまた主人公があるということ、どの地点の吾の眼(私の宇宙世界)にいても中心があり、意識できない先天構造から始まるということ。(この構造の発見開拓者が八千年前のスメラミコトで世界歴史の経綸者) 以下イザナミまで十七神が意識の先天構造で瞬時の今此処の構造(今というのは十七神全体のこと)。

高御産巣日(たかみむすび)の神。次に

・・・・・ここから・・・未完・・・・・

神産巣日(かみむすび)の神。

この三柱の神は、みな独神(ひとりがみ)に成りまして、身(み)を隠したまひき。

次に国稚(わか)く、浮かべる脂(あぶら)の如くして水母(くらげ)なす漂(ただよ)へる時に、葦牙(あしかび)のごと萌(も)え騰(あが)る物に因りて成りませる神の名は、

宇摩志阿斯訶備比古遅(うましあしかびひこぢ)の神。次に

天の常立(とこたち)の神。

この二柱の神もみな独神に成りまして、身を隠したまひき。

次に成りませる神の名は、

国の常立(とこたち)の神。次に

豊雲野(とよくも)の神。

この二柱の神も、独神に成りまして、身を隠したまひき。

次に成りませる神の名は、

宇比地邇(うひぢに)の神。次に

妹須比智邇(いもすひぢに)の神。次に

角杙(つのぐひ)の神。次に

妹活杙(いくぐひ)の神。次に

意富斗能地(おほとのぢ)の神。次に

妹大斗乃弁(おほとのべ)の神。次に

於母陀流(おもだる)の神。次に

妹阿夜訶志古泥(あやかしこね)の神。

次に

伊耶那岐(いざなぎ)の神。次に

妹伊耶那美(み)の神。

ここに天津神諸(もろもろ)の命(みこと)以ちて、伊耶那岐の命伊耶那美の命の二柱の神に詔りたまひて、

「この漂(ただよ)へる国を修理(おさ)め固め成せ」と、天の沼矛(ぬぼこ)を賜ひて、言依さしたまひき。

かれ二柱の神、天の浮橋(うきはし)に立たして、その沼矛を(ぬぼこ)指し下(おろ)して画きたまひ、塩こをろこをろに画き鳴(なら)して、引き上げたまひし時に、その矛の末(さき)より垂(したた)り落つる塩の累積(つも)りて成れる島は、これ淤能碁呂島(おのろご)なり。

その島に天降(あも)りまして、天の御柱を見立て、八尋殿(やひろどの)を見立てたまひき。

ここにその妹(いも)伊耶那美の命に問ひたまひしく、

「汝(な)が身はいかに成れる」と問ひたまへば、答へたまはく、

「吾が身は成り成りて、成り合はぬところ一処(ひとところ)あり」とまをしたまひき。

ここに伊耶那岐の命詔りたまひしく、「我が身は成り成りて、成り余れるところ一処あり。故(かれ)この吾が身の成り余れる処を、汝(な)が身の成り合わぬ処に刺(さ)し塞(ふた)ぎて、国土(くに)生みなさむと思ふはいかに」とのりたまへば、伊耶那美の命答へたまはく、「しか善けむ」とまをしたまひき。

ここに伊耶那岐の命詔りたまひしく、「然らば吾と汝と、この天之御柱を行き廻り逢ひて、美斗(みと)の麻具波比(まぐはひ)せむ」とのりたまひき。

かく期(ちぎ)りて、すなはち詔りたまひしく、「汝は右より廻り逢へ。我は左より廻り逢はむ」とのりたまひて、約(ちぎ)り竟(を)へて廻りたまふ時に、

伊耶那美の命まづ「あなにやし、えをとこを」とのりたまひ、後に伊耶那岐の命「あなにやし、え娘子(をとめ)を」とのりたまひき。

おのもおのものりたまひ竟(を)へて後に、その妹に告りたまひしく、「女人(おみな)先だち言へるはふさはず」とのりたまひき。

然れども隠処(くみど)に興(おこ)して子水蛭子(みこひるこ)を生みたまひき。この子は葦船(あしぶね)に入れて流し去(や)りつ。

次に淡島を生みたまひき。こも子の例(かず)に入らず。

ここに二柱の神議(はか)りたまひて、

「今、吾が生める子ふさわず。なほうべ天つ神の御所(みもと)に白(まを)さな」とのりたまひて、すなはち共に参(ま)ゐ上がりて、天つ神の命を請ひたまひき。

ここに天つ神の命以ちて、太卜(ふとまに)に卜(うら)へてのりたまひしく、「女(おみな)の先立ち言ひしに因りてふさはず、また還り降りて改め言へ」とのりたまひき。

かれここに降りまして、更にその天の御柱を往き廻りたまふこと、先の如くなりき。

ここに伊耶那岐の命、まづ「あなにやし、えをとめを」とのりたまひ、後に妹伊耶那美の命、「あなにやし、えをとこを」とのりたまひき。かくのりたまひ竟へて、御合いまして、

子淡路の穂の狭別の島を生みたまひき。

次に

伊予の二名(ふたな)の島を生みたまひき。この島は身一つにして面四つあり。面ごとに名あり。かれ伊予の国を愛比売(えひめ)といひ、讃岐の国を飯依比古(いいよりひこ)といひ、粟(あわ)の国を、大宜都比売(おほげつひめ)といひ、土左(とさ)の国を建依別(たけよりわけ)といふ。次に

隠岐(おき)の三子(みつご)の島を生みたまひき。またの名は天の忍許呂別(おしころわけ)。次に

筑紫(つくし)の島を生みたまひき。この島も身一つにして面四つあり。面ごとに名あり。かれ筑紫の国を白日別(しらひわけ)といひ、豊(とよ)の国を豊日別(とよひわけ)といひ、肥(ひ)の国を建日向日豊久士比泥別(たけひわけひとわくじひわけ)といひ、熊曽(くまそ)の国を建日別といふ。次に

伊岐(いき)の島を生みたまひき。またの名は天比登都柱(あめひとつはしら)といふ。次に

津(つ)島を生みたまひき。またの名は天(あめ)の狭手依比売(さでよりひめ)といふ。次に

佐渡(さど)の島を生みたまひき。次に

大倭豊秋津(おほやまととよあきつ)島を生みたまひき。またの名は天(あま)つ御虚空豊秋津根別(もそらとよあきつねわけ)といふ。

かれこの八島のまづ生まれしに因りて、大八島国(おほやしまくに)といふ。

然ありて後還ります時に、

吉備(きび)の児島(こじま)を生みたまひき。またの名は建日方別(たけひかたわけ)といふ。次に

小豆島(あづきしま)を生みたまひき。またの名は大野手比売(おほのてひめ)といふ。次に

大島(おほしま)を生みたまひき。またの名は大多麻流別(おほたまるわけ)といふ。次に

女島(ひめしま)を生みたまひき。またの名は天一根(あめひとつね)といふ。次に

知珂(ちか)の島を生みたまひき。またの名は天の忍男(おしを)。次に

両児(ふたご)の島を生みたまひき。またの名は天の両屋(ふたや)といふ。

既に国を生み竟(を)へて、更に神を生みたまひき。

かれ生みたまふ神の名は

大事忍男(おおことおしを)の神、次に

石土昆古(いはつちひこ)の神を生みたまひ、次に

石巣(いはす)比売の神を生みたまひ、次に

大戸日別(おおとひわけ)の神を生みたまひ、次に

天の吹男(あめのふきを)の神を生みたまひ、次に

大屋昆古(おおやひこ)の神を生みたまひ、次に

風木津別(かぜもつわけ)の忍男(おしを)の神を生みたまひ、次に

海(わた)の神名は大綿津見(わたつみ)の神を生みたまひ、次に

水戸(みなと)の神名に速秋津日子(はやあきつひこ)の神、次に

妹(いも)速秋津比売の神を生みたまひき。

この速秋津日子、妹速秋津比売の二神(ふたはしら)、河海によりて持ち別けて生みたまふ神の名は、

沫那芸(あわなぎ)の神。次に

沫那美の神。次に

頬那芸(つらなぎ)の神。次に

頬那美の神。次に

天の水分(みくまり)の神。次に

国の水分の神。次に

天の久比奢母智(くひざもち)の神、次に

国の久比奢母智の神。

次に

風の神名は志那都比古(しなつひこ)の神を生みたまひ、次に

木の神名は久久能智(くくのち)の神を生みたまひ、次に

山の神名は大山津見(おおやまつみ)の神を生みたまひ、次に

野の神名は鹿屋野比売(かやのひめ)の神を生みたまひき。またの名は野槌(のづち)の神といふ。

この大山津見の神、野槌(のづち)の神の二柱(ふたはしら)、山野によりて持ち別けて生みたまふ神の名は、

天の狭土(さづち)の神。次に

国の狭土の神。次に

天の狭霧(さぎり)の神。次に

国の狭霧の神。次に

天の闇戸(くらど)の神。次に

国の闇戸の神。次に

大戸惑子(おおとまどひこ)の神。次に

大戸惑女(め)の神。次に生みたまふ神の名は、

鳥の石楠船(いわくすふね)の神、またの名は天(あめ)の鳥船(とりふね)といふ。次に

大宜都比売(おほげつひめ)の神を生みたまひ、

次に

火(ほ)の夜芸速男(やぎはやお)の神を生みたまひき。またの名は火(ほ)の炫毘古(かがやびこ)の神といひ、またの名は火(ほ)の迦具土(かぐつち)の神といふ。

この子を生みたまひしによりて、御陰炙(みほどや)かえて病(や)み臥(こや)せり。